プロジェクトの概要
この研究では、最近大学教育で広く取り入れられるようになってきたグループワークを支援するための携帯電話用のアプリケーションを開発しています。
最近では、様々な大学、とくに学部教育でグループワークが広く取り組まれるようになってきました。しかしグループワークでは、メンバーが自然とお互いに手を抜いてしまう「社会的手抜き」といった現象がみられるなど、決して一筋縄でうまくいくわけではありません。
そこで、プロジェクト学習用グループウェアProBo を拡張して、学生が常日頃使う携帯電話の待ち受け画面上に、グループの状況をリアルタイムに可視化するシステムを開発し、学生がより能動的にお互いの助け合いをしたり、自分の分担を進めたくなるようにすることを、この研究では目標にしました。
実際のシステムは、写真のような「倉庫番」が各グループの学生として表示され、グループのメンバーがそれぞれどの程度進んでいるか、どの程度仕事が積んでいるか、きちんとWebグループウェアにアクセスしているかといった情報を、待ち受け画面のアニメーションで見ることができます。学生がメールや電話のために携帯電話を開くと、自動的にProBoのデータを読み取って、画面に最新の状況を提示します。約30秒弱のアニメーションが表示されます。
このシステムを使うことで、他のメンバーの様子をしっかり確認して、それにあわせて進め
られるだけでなく、他のメンバーから見られている意識が生じて、しっかり学習を進めなければ、という気持ちになることや、このソフトウェアを使わない場合に比べて、グループの学習目標に向けた一体感がより向上することが分かっています。
この研究は科学研究費補助金(若手研究(B) 17700607; 19700630)の支援を受けて実施されています。
本研究プロジェクトは、ED-MEDIA 2008 Outstanding Paper Awardを受賞しました!
プロジェクトメンバー
- 望月 俊男(専修大学):プロジェクト統括
- 加藤 浩(メディア教育開発センター):学習理論、プロジェクト管理、授業実践
- 西森 年寿(東京大学):システム開発、授業実践
- 八重樫 文(立命館大学):インターフェイスデザイン
- 永盛 祐介(筑波大学大学院):インターフェイスデザイン
- 藤田 忍(スパイスワークス):システム開発
Publications
- 望月俊男,加藤浩,八重樫文,永盛祐介,西森年寿,藤田忍(2007)ProBoPortable: プロジェクト学習における分業状態を可視化する携帯電話ソフトウェアの開発と評価.日本教育工学会論文誌,Vol.31, No.2, pp.199-209
- 八重樫文,望月俊男,加藤 浩,西森年寿,永盛祐介,藤田忍(2007)デザイン教育の特徴を取り入れたプロジェクト学習支援機能の設計.日本教育工学会論文誌,Vol.31,Sup. pp.193-196.
- Mochizuki, T., Kato, H., Yaegashi, K., Nishimori, T., Nagamori, Y. & Fujita, S. (2008). ProBoPortable: Development of Cellular Phone Software to Prompt Learners to Monitor and Reorganize Division of Labor in Project-Based Learning. In Proceedings of World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia and Telecommunications 2008 (pp. 5047-5055). Chesapeake, VA: AACE. (Presentation on July 1st, 2008, at Vienna, Austria)