デジタル社会に氾濫する多様な情報の中で,一般市民は対立したり矛盾したりする様々な情報をどう解釈するかに困難が生じています(Kienhues et al., 2017).ワクチンやダイエット,教育の方法に関する情報のように,信頼できそうな情報源から複数の情報を得ても,矛盾があると感じられ,迷うことも少なくありません.しかし,一般人であっても,専門的職業人が行っているのと同様に,矛盾を同定し,その理由を説明する能力を習得する必要が生じています(Thomm & Bromme, 2016).

そこで複数の情報の統合的な理解を促す教育実践や学習支援に関する研究が多くなされるようになっています(Barzilai, et al. 2018).これらの多くは情報源評価の重要性を確認することを学習したり、そうした確認を促すものですが,学習者がどのようにそれら情報間の不一致を解決するべきか,情報源評価以外の推論や意思決定方略を育成することに焦点を当てた研究は希少です.

そこで,私たちは,①情報源の評価,②矛盾・共通点・の分析,③各矛盾点・共通点を示す証拠の同定,④証拠と,証拠が生み出された過程に関する情報(実験条件や科学的メカニズムなど)から矛盾の理由の同定という,4つの方略を学ぶことで,複数の矛盾した情報を用いた問題解決における適切な意思決定を学ぶことができる教材を開発してきています.

Publications

  • Mochizuki, T., Chinn, C.A., Yamaguchi, E., & Zimmerman, R.M.(2017, August). Instruction on disagreement resolution in reasoning about multiple documents. Poster presented at the 17th bi-annual conference of European Association for Research on Learning and Instruction (EARLI 2017), Tampere, Finland.
  • Mochizuki, T., Chinn, C. A., Zimmerman, R.M., & Yamaguchi, E. (2019). Instruction on disagreement resolution in reasoning about multiple documents. Poster presented at the 18th bi-annual conference of European Association for Research on Learning and Instruction (EARLI 2019), Aachen, Germany.