さまざまな情報の間で矛盾が生じる一つの理由に、その情報の中でエビデンスをどう取り扱っているのか、ということがあります。たとえば、ある病気に対する処方の効果について、良いといっている情報と、そうではない情報があったとします。良いといっている情報は、ある1つのエビデンスにしか着目しないで、説明しているかも知れませんが、もしかすると総体的なエビデンス(bodies of evidence)はその反対のことを示しているかもしれません。このような証拠の取り扱いは、「チェリー・ピッキング」と呼ばれます。しかし、一般の人々は、もしかすると良いといっている情報にしか接しないで、判断してしまうかもしれません。また、専門家は、わかりやすくするために、ある一つの具体例だけを取り上げるということもあるかもしれません。

このように、世の中に溢れる情報には、さまざまなエビデンスの取り扱いがなされることで矛盾することがあります。その中から、より信頼性のある証拠を基にした情報にアクセスして判断できるようになるリテラシーを身につけることが大切です。科学にかぎらず、様々な分野の情報で、証拠をどのように把握するのか、ということをしっかり学べる学習プログラムを開発することをゴールにして研究を進めています。

Recent Publications

望月俊男,Clark A. Chinn,山口悦司,大浦弘樹 (2022). ポスト真実時代における認識的認知に基づく情報リテラシーとその学習環境のデザイン.教育システム情報学会誌,39(1), 17-34.【招待論文】

Mochizuki, T., Chinn, C. A., Oura, H., & Yamaguchi, E. (2024). Recognizing Cherry-Picked Data in Scientific Information: Epistemic Challenge toward Understanding Comprehensive Evidence. In Lindgren, R., Asino, T. I., Kyza, E. A., Looi, C. K., Keifert, D. T., & Suárez, E. (Eds.), Proceedings of the 18th International Conference of the Learning Sciences – ICLS 2024 (pp. 1243-1246). International Society of the Learning Sciences.

Oura, H., Mochizuki, T., Chinn, C. A., Yamaguchi, E., & Lin, Q. (2024). The Role of Instruction in Shaping Reasoning about Bodies of Evidence: An Experimental Comparison. In Lindgren, R., Asino, T. I., Kyza, E. A., Looi, C. K., Keifert, D. T., & Suárez, E. (Eds.), Proceedings of the 18th International Conference of the Learning Sciences – ICLS 2024 (pp. 1263-1266). International Society of the Learning Sciences.

Oura, H., Mochizuki, T., Chinn, C. A., Winchester, E., & Yamaguchi, E. (2022). Detecting Cherry-Picked Evidence in Texts: Challenges for Undergraduate Students. In Chinn, C. A., Tan, E., Chan, C., & Kali, Y. (Eds.) 16th International Conference of the Learning Sciences– ICLS 2022 (pp. 1257–1260). Hiroshima, Japan: International Society of the Learning Sciences.